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? 光捕獲複合体
上記で示したように、太陽光エネルギーは最終的に効率よく光化学反応の中心まで到達する。このような協調的励起作用が光捕獲複合体(Light HarvestingComplex)の基本メカニズムである。1995年に紅色光合成細菌において、反応中心に励起エネルギーを伝達する集光性色素−タンパク複合体(集光性複合体)(LH1およびLH2と呼ばれる)の結晶構造がほぼ明らかになった。驚くべきことに、これらの複合体結晶は、これまでに構造が分かっているその他の集光性複合体の結晶に見られない高い回転対称性を持つ高次会合構造を示している。光合成膜上においても、LH1とLH2のクロロフィルはリング状に配列しており、LH1は反応中心を内包し、いくつかのLH2がLH1に隣接して、反応中心まで励起エネルギーを伝えていると考えられる。この高い回転対称性を持つ色素−タンパク複合体における励起エネルギー移動の特性に興味が持たれ、近年でLH1とLH2のクロロフィルが関わる励起−重項エネルギー移動の研究に高速時間分解分光法が盛んに研究された。

 

 

 

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